コラム「風」令和7年5月

後悔先に立たず

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秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「これ、どうしようかな?」と迷うこと、誰もがあるものと思います。また、下(くだ)した判断について後々(のちのち)考えてみたら「あの時の対応で良かった~」ということもあれば「あの時にやっておけばなあ」という後悔も、もちろん誰もが経験しているはずです。そのバランス感は、言うまでもなく良かった方が多く、後悔が少ない方がいいに決まっていますが、実際はなかなか難しいところです。
 私はたまに「石橋を叩いて渡る人」と言われます。確かにそうだろうと思います。いくらかでも後悔を小さくしたいからです。特に公務に関しては、町民にご迷惑を掛けない結果に導くためには、そうした行為は大切です。そのため、事の軽重を踏まえてですが、できる限りよく考えるようにしています。ただし、迅速さが求められる案件は、頭をフル回転させて短時間で石橋を叩き、迅速に決断を下してきたつもりです。また、それでもなお判断に迷う時は、「考える前に感じた自分の直感を信じろ」です。
 さて、最近、「帯状疱疹に罹(かか)った」との話を耳にします。どうやら、一度ならず複数回発症した方もいるようです。みなさんご承知のように、帯状疱疹は油断できない病気です。そのため町では、これまで50歳以上を対象に、ワクチン接種の支援策を講じてきました。他方、国はそのワクチンについて、今年度から65歳以降5歳刻みの方を対象に、接種を推奨する定期接種に位置付けました。そのため、町の支援制度も再検討が必要となりました。国の方針に沿えば「今年は接種するぞ」と思っている50歳以上の定期接種に当たらない方は、支援対象から外れます。「それで混乱はないか?」と思案しましたが、「経過措置が必要」との意見もあり、結果的に今年12月までの期間限定で、その年代も支援対象にすることとしました。その年代の方々には、接種するかどうか、よく考えてもらいたいと思います。重ねますが、今年限りの期間限定の経過措置ですよ(笑)。
 「後悔先に立たず」。誰もが知る有名な格言ですが、普段は意識しないことが通例。そして、痛い目にあってから認識するのも通例。「ああ、後悔の予見ができれば」と思うのは、私だけでないはず。でもそれができるのは、ドラえもんしかいないんですよね。残念!

(広報美郷 令和7年5月号より)

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