コラム「風」平成29年8月

「つくる」 ということ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 夏休み真っ盛りの8月。子供たちはのびのびと遊んでいるものと思います。そして宿題も・・・がんばっていますよね、きっと。

 夏休みの宿題については、私の場合「あ~、宿題か~」という感じでしたが、小学時代のそれは確かドリルと工作だったように思います。私はとにかく嫌なドリルは早く仕上げて、遊ぶこと。そして工作は最後に仕上げるという順でしたが、その工作、小学時代には割と絵が得意でしたので、下着のシャツに油性ペンで漫画を描いて絵付きTシャツを制作。工作が楽しかった思い出が残っています。

 そうした経験のためか「つくる」ということ、私は基本的に楽しい行為と思っています。もしかして農耕民族として、つくる喜びの遺伝子があるのかも知れません。そこで改めて「つくる」を考えてみます。すると、人間は常に何かをつくっていることに気が付きます。食料や生活物資、制度や構造物、文化や歴史、そして人生も。

 さて昨年、美郷中学校において壁画制作のプロジェクトが展開されました。生徒たちには芸術家の制作過程を目の当たりにすることで、「つくる」ということを肌感覚で感じるとともに、「つくる」とはどういうことかを考える意義深い機会だったと思います。今後もこの記憶を大切に、いつの日か違う視点で理解し、深い思慮に繋げることを期待したいと思います。さらにそうした思慮を通じ、よりよい人生を考えるきっかけになることを期待したいと思います。

 そして今年度、町では別のプロジェクトをスタートさせます。全小学校で壁画制作する取り組みで、今度は児童に「つくる」を感じてもらいたいと思います。各壁画にはそれぞれテーマがありますが、実は作品全体を貫く思想(まだ内緒です)が別にあって、完成した暁にはきっと素晴らしい作品群になります。画家は美郷中学校を手掛けてくれた大小島真木さんです。その制作順番ですが、昨年度美郷中学校でしたので、今年度は仙南小学校で8月下旬から展開し、来年度は千畑小学校、再来年度は六郷小学校の予定です。児童には、「つくる」ことの楽しさを感じてもらうとともに、大人になってからさらに深く考える、大切な記憶になることを願っております。

(広報「美郷」平成29年8月号より)

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