天筆
六郷のカマクラ行事は、2月11日から15日にわたって行われます。
豊作、安全繁栄を祈る「年ごい」と凶作や不幸を除去する「悪魔払い」、そしてその年の吉凶を占う「年占い」の三者が一体となった行事です。

観光化の進む東北地方のカマクラの中でも、最も小正月行事本来の姿を保ち、住民の伝承欲も高いことから国の重要無形民族文化財として指定されています。

この行事は「左義長」の吉書焼きの遺風をうつしたもので、鎌倉初期、二階堂氏が六郷の地頭となり、鎌倉幕府の「吉書初め」の行事をもたらしたものといわれ、豊作祈願の火祭として続いてきました。

2月15日をピークとする行事で、11日の蔵開きと天筆書初め、12日の小正月市と天筆掲揚、鳥追い小屋造り、15日の餅つき、小正月の年とり、「天筆焼き」、「竹うち」、そして、「鳥追い」この一連行事を六郷のカマクラといい、この形が町に定着したのは江戸初期のころといわれています。
子どもたちは11日、天筆を書いて翌日に備えます。

天筆のこしらえ方は、半紙を横に三つに断ち、それを長く継ぎ合わせ、長さは各自の好みにもよりますが、3メートルから5メートルです。
白紙ばかりではなく、緑、黄色、赤、白、青の順に色紙を継ぎ合わせて作るのもあります。

また、男の子が二人いれば2本、三人いれば3本と男の子の数だけ作り、女の子は立てない習わしでしたが、今は、女の子の分も作ります。

そしてこの天筆に書く文句はいろいろ例があります。次にその例をあげます。
「奉納鎌倉大明神 天筆和合楽 地福円満楽 々々 新玉の年の始めに筆とりて万の宝かくぞあつむる 何年正月吉日 氏名 年齢 敬白」
初めには必ず天筆和合楽と書き最後には前記の和歌一首を書きます。
長いものになると、五穀豊穣楽、天下太平楽、家内安全楽といったようなものもあります。

昔の寺子屋時代には習字の手本に天筆手本というのがあって、それを習わせたものだとのことですが、今は、いろいろと変化し、最近では交通安全楽というものまであります。

この天筆は、吉書、書初めであり、子どもたちが自分のものは自分で書き、自分で書けない幼年者のものは父兄が代筆し、15日の夜カマクラに持っていきます。

12日は市が開かれ、15日の小正月年越しの準備の日で、露天市では15日に神仏に供えるメメンコを買う風景も見られます。また、この日から、天筆を長い青竹の先につけて戸外に立てますが、全町の数千本の天筆が寒風になびくさまはまことに壮観です。
13日のあたりから、とり小屋と称する鳥追い小屋作りが始まります。
その中に「鎌倉大明神」がまつられ、子どもたちは互いに鳥小屋を訪問し合い、鳥追い唄を歌って過ごします。

鳥追い小屋と呼ばれる雪室は、雪を40センチくらいの厚さに四角に積み上げて、天井に茅を編んで作った筵(むしろ)を載せて作ります。

15日になると小正月の餅つきが始まります。
柳まゆ玉を作って神棚を飾るのが見事です。
まゆ玉は餅花、団子花ともいい柳の小枝にまゆ玉の餅を付けて作りますが、これは稲穂をかたどったもので、神棚や米俵の上に立てて豊作を祈願します。
鳥追い行事
鳥追い行事
間もなく、「竹うち」が始まります。
「正月どごまできた クルクル山のかげまで 何おみやげもってきた
 松とゆずり葉とデンデン串柿もってきた あしたの晩かまくらだ 大根と牛蒡ど煮ておけ」
国指定重要無形民俗文化財
六郷のカマクラ
<蔵開き>
正月11日(現在は2月11日)は、蔵開きの日で、地主では元旦からこの日まで蔵の米出しをやめますが、その蔵開きです。
蔵の前に据え膳してお灯明をともし、取っ手のある大きな鍵を供えて拝みます。
<天筆>
<鳥追い行事>
また、カマクラの準備も進み、各町内のカマクラ本部の前などには雪の神殿が作られ、青竹が林立して戦気がいよいよ充満してきます。
秋田県美郷町 美郷ネット
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