コラム「風」令和7年12月

お米への想い

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秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「あ〜、ごはんがうまい」と思ったこと、みなさんはどれくらいありますか。ちなみに、ここで言うごはんとは「お米」のことです。ほぼ毎日たべているので、意外とそうした記憶を思い出すのに時間が必要かも知れませんが、誰しもが必ずあるはずです。
 私の場合、ごく最近の記憶では10月に食べた新米サキホコレ。これは感動的にうまかった。あまりにおいしくて、おかずなしに茶碗一杯を平らげました。また、そのちょっと後の、道の駅美郷の食堂「みさとのごはん」で食べた釜炊きご飯。これもうまかった。さすが、お米を意識した食堂です。一方、ぐっと時間を遡って思い出されるのが小学生の頃。おやつ代わりに食べた味噌おにぎり。これも私にとっては「ごはんがうまい」と思った記憶の一つとなっています。
 こうした、ごはんに関する記憶があるのは、やはりお米をほぼ毎日食べているからだろうと思います。だからこそ少しの変化に意識が回り、うまいまずいという認識に繋がるとともに、記憶として残るのだろうと思います。さらに深い部分では、食べる行為の重要性を私たちは無意識に理解していて、だからこそお腹を満たす象徴の主食に特別な意識が働くということなのかも知れません。いずれ、主食のお米を意識することはとても大切なことと思うところです。
 町では、こうしたお米に対する認識を踏まえ、子供たちの給食に力を入れています。子供たちにお米を意識してもらうとともに、給食をきちんと食べてもらうために、小中学校では胚芽も含み栄養価の高い「金芽米」あきたこまちを提供することとし、先月から実施しています。実は昨年度試験的に提供したところ、給食全体の食べ残しが減りました。これはとても重要な結果です。きちんと必要な栄養を摂らせるという学校給食の目的に沿うからです。また、認定こども園では、以前から特別栽培米のあきたこまちを提供しています。特別栽培米というのは、化学肥料や農薬を通常の半分以下に減らして栽培した、より安全安心を意識したお米です。認定こども園、小中学校ともに、こうした意識を持った給食提供としているところです。
 子供たちには、給食を含めてお米に何らかの意識が芽生えることを期待したいと思います。お米への想いです。また、給食を通じた友達との会話や風景なども記憶し、それが意味ある記憶として自身の成長や町への想いに繋がることも、心から期待たしいと思います。

(広報美郷 令和7年12月号より)

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