コラム「風」令和7年3月

帳尻合わせの努力

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秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先日、久しぶりにスーパーに買い物に行きました。会計で「そんなに買ったか?」と思う金額になり、物価高の進行を肌で感じるとともに、「これは家計の帳尻合わせも大変だな」と実感した次第です。

 そこで思い出したのが、学生時代の食生活です。多くない仕送りで生活費全般を賄っておりましたが、飲み会が重なりますとどうしても月末は苦しくなり、食費で帳尻を合わせておりました。朝晩の自炊ではモヤシに卵、豆腐などの組み合わせで切り詰め、お昼は学食で千切りキャベツに納豆、ご飯に味噌汁の最安単品組み合わせで確か130円だったと思います。そんな対応で1週間の食費を千円で乗り切ったこともありました(今はそんな金額では無理ですが)。

 こうした収入と支出の帳尻合わせ、今はどこのご家庭でも頭を悩ませながら対応なさっているものと思います。そしてこのことはご家庭のみならず、事業経営や自治体経営においても同じです。経営の永続性を見据えると、収入と支出の帳尻合わせ、従前よりも努力が必要です。特に美郷町は、合併特例債の期限が来て有利な資金借入ができなくなったので、よりその努力が求められるところです。

 こうした努力は、多面で考えて多様に実践することが肝要で、実際、7年度予算案では多くの努力で帳尻を合わせようとしました。その一つが「施設管理の見直し」です。例えば公共施設は条例に基づき開館時間が決まっているため、利用者がいなくても開館しています。しかしこれは条例のための開館であり、利用者がいなければ行政効果を生みません。そこで今年4月からは、利用者がいない場合は施設の開館時間を短縮することにしました。ただし事前の利用申込があれば、条例に基づく開館時間内は利用できますので、実利用に支障は生じません。地味な努力ですが、積み重ねますと一定の支出削減になります。つまり、こうした地味な努力が必要なほど合併特例債が使えない影響は大きく、町財政は一つの転換点に立っているわけです。みなさまのご理解とご協力、お願いいたします。

 なお、ささやかなご家庭への帳尻合わせの支援、住民税非課税世帯への現金交付とそれ以外の世帯への商品券交付は、現在進めております。商品券は3月中にお届けし4月から利用できますので、それぞれの努力を合わせて、「困難な今」を乗り切りたいものです。

(広報美郷 令和7年3月号より)

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