コラム「風」平成29年12月

人を想う

  秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 普段の生活で電車に乗る機会が少ない私は、首都圏で電車移動する際に、何となく人の動きが気になります。お腹の大きい妊婦さんに躊躇(ちゅうちょ)なく席を譲る学生、「これは席を譲るでしょ」と思える高齢者に知らんぷりするサラリーマン。平気で二人分の席を独占する若者もいれば、親子が並んで座れるよう席を移る中年もいます。改めて「人間ってのはいろいろだねえ」としみじみ思うところです。

 きっと社会規範や理性を脇に置いて行動すれば、誰しもが自分ファーストになるのだろうと思いますが、他者との関わりで社会的自己存在が成立する真理を受け止めれば、やはりそれを脇に置くことはできません。相手の立場にも立って物事を考え、判断し、行動するのが当然ではないかと思います。某企業のCMに「人のときを想う」というキャッチコピーがありますが、改めて深慮してみると、「人を想う大切さを考えさせる深い言葉だなと思うところです。

 さて身近な話です。ついに除雪の時期となりました。今年はどういう経過を辿るか気になるところですが、できるならば豪雪は勘弁してもらいたいところです。一方、除雪オペレーターのみなさんですが、どんな雪でも来い!という心構えで備えております。まさに「町民を想いながら、作業に責任感を持って臨んでおります。その心構えと責任感があるからこそ、みなさんがぐっすり眠っている午前2時から出動し、体に相当の負荷を掛けながらもがんばっているわけです。みなさんにも、どうか「オペレーターを想い」ながら、今年の除雪作業へのご理解とご協力、よろしくお願いいたします。

 とは言うものの、各世帯にさまざまなご事情もおありかと思います。そのためご要望は、可否を別にして、私たちも真摯に受け止めます。ですので、その内容や伝え方についても、どうか「人を想う」お気持ちでお伝えしてくださるよう、お願いしたいと思います。

 かつて「3年B組金八先生」というドラマがありました。あるシーンでの「彼も人なり、我も人なり」という台詞(セリフ)が心に残っています。人を考える深い意識がそこに存在しているように思います。

(広報「美郷」平成29年12月号より)   

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