コラム「風」平成29年7月

永遠性に内在するもの

秋田県美郷町長 松 田 知 己

 先月、町ラベンダー園と学友館での川瀬巴水展を紹介するため、FMラジオの番組に行ってきました。生放送ゆえに妙に緊張しましたが、最後のコーナー「私の思い入れの一曲」でほっこり。緊張感から解放されたその曲は、ビートルズの“レット・イット・ビー”。「いいねえ」という方、必ずいらっしゃると思います。

 その“レット・イット・ビー”、私にとっては「永遠性」を感じる曲の一つです。「詩、メロディー、歌声」すべてよしの楽曲で、いつ、どこで、何回聴いても、「飽きる」という未来がまったくイメージできません。私にとって永遠に好きな曲なんだろうと思います。

 こうした永遠性を感ずる物や事柄、人それぞれに多くあるだろうと思います。私にもまだあります。具体の一例を挙げると「ミロのヴィーナス」。県職員時代に実物を観たことがありますが、美しさに感動しました。その感動は今も色褪せず、写真等を目にしても感動は蘇(よみがえ)ります。紀元前の人間が表現した「美」が脈々と生き続け、現代人を刺激する。まさに永遠性のある美なのだろうと思います。

 そしてもう一つ。先般ある方を通じて、ある映画のPR版(と言ってもほぼ全編)を頂戴し観ました。感動しました。その主人公の一人が美郷町六郷出身の「むのたけじ」さん。もう一人は日本初の女性報道写真家「笹本恒子」さん。それぞれの来し方を振り返りつつ、現在を切り取ったドキュメンタリーには、生き方を貫く芯、あるいは思慮と行動を支える心柱を感じました。きっと時代を超えて評価されるものと思います。強靭でありながらしなやかな意志と実践の人生は、永遠性を持つ生き方ではないかと思うところです。

 「笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ」というその映画、昨年ご逝去されたむのさんへの追悼の想いを込めて、7月8日(土)町公民館にて上映します。映画製作の河邑厚徳監督のご講演も予定しており、老若(ろうにゃく)男女(なんにょ)問わず、必ずや今後の生き方を考えるきっかけ、あるいは生きる希望を感じていただけるものと思います。より良い人生を考える意味で、多くの方にご覧いただきたいと思います。

(広報「美郷」平成29年7月号より)

このページに関する情報