コラム「風」平成29年4月

あり方の変化

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 今年1月、日本老年学会が、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上に引き上げた方がいいという提言を発表しました。大きなニュースになりましたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。 その背景には、高齢者の心身の健康に関するデータを検討した結果、以前と比較して身体的機能変化が5~10年、若返り現象が見られることがあるとのこと。確かに高齢者が集う会合に伺っても、その若いこと若いこと。日常活動の実感として、頷(うなず)けるところです。

 こうした若返り現象、必ず理由があるわけですが、勝手な理解では、食生活と生活スタイルの変化、労働環境と情報環境の変化などが作用しているように思います。つまり、以前と比較して生活の「あり方が変化」していることに理由があるように思うところです。

 こうした「あり方の変化」、見渡してみると広く顕在化(けんざいか)しています。国のマイナンバー制度の導入や転作制度の廃止も、いわば取り巻く状況を鑑(かんが)みた「あり方の変化」の一例です。美郷町にもあります。今年度導入の水道事業の企業会計化、役場・出張所の窓口業務の見直しなどもその一例です。そのほか、改めて望ましい「あり方」を見定め、将来の「変化」を見通さなければならない事柄があります。公共施設のあり方を見直す第2次公共施設再編計画、物産と観光に関するあり方を見直す第三セクター等の再編計画などです。

 第2次の公共施設再編は、人口の減少傾向等を受けて公共施設の設置状況を見直すもので、そこで生ずる余裕は可能な範囲で各種制度の維持・充実に回したいと思います。第三セクター等の再編は、誘客等を目的にした団体や第三セクターのあり方について課題を踏まえて見直すもので、新たな体制を構築して成果に繋(つな)げていきたいと思います。ともに「遅きに失した」とならないよう、町議会や関係組織と協議し、望ましい変化を見出していきたいと思います。

 難しい事ほど、口にする行為は腹を括(くく)る決意の裏腹です。本欄で触れることに腹の括り方を感じていただくとともに、今後の展開にご理解とご協力をお願いいたします。なお、感じていただきたいのは・・・決して成長している私の腹回りではございません。

(広報「美郷」平成29年4月号より)

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