コラム「風」平成28年5月

一つずつ前に   

秋田県美郷町長 松 田 知 己  

 お風呂をテーマに話が進んでいく奇想天外な漫画「テルマエ・ロマエ」。映画化されてテレビでも放映されておりますので、ご覧になった方も多いと思います。話の背景は、後世の学者によってパクスロマーナ(ローマの平和)と名付けられた時代。治世安楽で、ローマ帝国の中でもっとも幸福だった時代と言われています。

 ギボンという学者が名付けたパクスロマーナの治世。その詳細については高校での世界史不勉強(不真面目)ゆえに、よく記憶しておりませんが、きっといろいろな制度や施設などが整備され、市井(しせい)の人が平穏な日常を当たり前に繰り返すことができた時代、あるいは不穏な事柄や争い事、天変地異が少なく、安定した生活を重ねることができた時代だったのではないかと思うところです。

 さて先日、そうした「平和」を一瞬にして奪う天変地異が発生しました。熊本地震です。発生したあの夜、私はテレビのニュース番組を聞き流していましたが、突然心ざわめく音が流れ、画面に目を転ずると緊急地震速報。その後、徐々に明らかになる被災の実態、そして余震に伴う被害拡大の映像は、まさに平和の欠片(かけら)も無い状況でした。被災して日常の平和を奪われた皆様、そしてお亡くなりになられた方々には、心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。そして彼(か)の地の着実で迅速な復興を心から願いたいと思います。

 こうした状況を目(ま)の当たりにしますと、改めて備えの大切さを再認識いたします。ちなみに千屋断層を抱えている此(こ)の地は、主な施設の躯体(くたい)耐震補強は終わっています。吊り天井の耐震改修も今年度公民館に着手(年度後半はご不便をお掛けしますが)、残り僅(わず)かとなります。さらに今年度は情報対策にも着手し、屋外の防災行政無線に加えて、屋内対策として3か年計画で各世帯に防災ラジオを配布する予定です。土砂災害危険区域など優先地域から配布していくこととしておりますので、みなさんのご理解をお願いいたします。

 災害への備えは「分け入っても分け入っても青い山」的な感じですが、「一つずつ前に」の認識で取り組んでまいりたいと思います。

 (広報「美郷」平成28年5月号より)

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