コラム「風」平成28年3月

理解と合致   

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 語れるほどクラシック音楽に造詣は深くありませんが、同じ楽曲でも演奏者によって曲の雰囲気が違うところに、クラシック音楽の面白さがあると私は思っています。学生時代にクラシックギター部だったこともあり、バロック音楽、特にJ.S.バッハの曲をたまに聞きますが、やはり演奏者によって多少の違いがあります。

 これは言うまでもなく、演奏者の楽曲に対する理解と感性(表現)の違いによるものですが、一方で聴く側の理解(知識)や感性の違いも、実はその感じ方にかなり作用しているように私は思っています。結果的に演奏に対する感じ方は、発する側と受け止める側の理解と感性の合致性が決めていくのではないかと思うところです。

 さてこうした合致性、日常生活でも多くの場面で求められます。些細な事に感謝したり、逆に怒ったりするのも、その言動の根底にはそれがあります。これを行政で考えると、施策評価もそこに至ります。発する私どもと受け止める町民みなさんの理解と感性が合致していれば「意義ある施策」。一方、合致していなければ「意義の小さな施策」となります。また国と自治体との関係も同様で、理念と予算を発する国と受け止める自治体が、その政策に合致性があれば評価も成果も生まれます。しかし最近、それに疑問を持たざるを得ない事例が生じています。「地方創生」についての予算です。

 人口減少に関する新規施策の予算を国が手当てするとした地方創生について、予算付けの考え方を国はコロッと変えました。結果、これまでの説明で策定した「総合戦略」は、かなりの割合で国の交付金の対象外。予算という梯子を外されました。国の考え方と進め方には納得しませんが、「攻め」の施策について予算を得ながら前に進めるとすれば、国の考え方に合致させるしかありません。昨年十月に策定した総合戦略は、もう見直しをせざるを得ない状況です。

 まさに平家物語にある「諸行無常」を感じますが、望むらくは国と自治体の理解と感性が合致して、結果、流行語大賞に入った「安心してください。」という結末になることを期待したいものです。

(広報「美郷」平成28年3月号より)

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