コラム「風」平成28年2月

交流と可能性 

秋田県美郷町長 松 田 知 己  

  「やあ久しぶり」。年末年始この言葉を皮切りに、友人と「百薬の長」を酌み交わした方も多かっただろうと思います。きっとその多くは学校時代の友人ではないかと思いますが、同じ空間で同じ時間を過ごした縁(えにし)には、何事にも勝る連帯感があります。また、たわい無い会話の中には仕事上のヒントや新たな展開の可能性もあり、何かに繋がる大切な機会にもなっているものと思います。

 基本的に人と人の交流には、内容に関わらず共通の意義があるものと思います。一つは交流に伴う自己の確認であり、一つは自己の向上に繋がる可能性の発見・創出だろうと思います。だからこそ、交流機会は大切にするべきなのですが、これは個人も団体も同じです。美郷町がこれまで意識的に交流を大切にし、協定等を結んできた理由もそこにあります。例えば(株)龍角散との交流・協定では、美郷町の歴史を振り返ることで過去の地域の特色を再確認し、それが農業振興上の新たな可能性と展開に繋がっております。

 そして町ではその観点で、子供たちの交流も力を入れております。既に交流実績のある千畑小学校と港区御田小学校の関係を手本に、町内の小中学校の「友人探し」に努めてきたところです。その結果、仙南小学校が文京区の学校と交流を進めていくことになり、先月、児童が千駄木小学校を訪問してきました。子供たちがこの交流を通じ、「井の中の蛙」的視野ではない広い視野を育(はぐく)み、美郷町の良さを再確認するとともに、いつの日にか地域振興に新たな可能性を生み、それを牽引する大人に成長することを期待したいと思います。

 身近に「ハイボール美味(うま)いね」と言う人がいます。曰(いわ)くウイスキーの美味さとは別物とのこと。彼はウイスキーをストレートで楽しんだあとに、酔い醒(ざ)ましも兼ねてハイボールを楽しみます。ウイスキーが炭酸水と交わることで生まれる美味さ、まさに「絶妙の交流」だそうです。お酒の世界における「交流」が生んだ新たな姿の一つですが、私も本日確かめてみます。日本酒のあとで。でもこれは胃の中で交流しますので、加減を間違うと・・・それは大変です。

(広報「美郷」平成28年2月号より)

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