コラム「風」平成27年11月

経験と気付き 

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先般、友人の結婚式以来会ったことがなかった大学同期生数人と一緒になる機会がありました。二十数年ぶりの再会です。みんな、気持ちは昔のまんまで、本当に楽しい時間を過ごしました。一方、容姿はそれぞれ少しずつ変化しており、例えば髪、例えばお腹、例えば顔の皺などに、改めて時間の経過を感じた次第です。

 会話は、仕事や家族の話など幅広い話題で盛り上がりましたが、やはりこの歳になると、容姿の変化もあいまってか健康の話題も出てくるもの。「体は大丈夫か?」、「何か薬を飲んでいるか?」などなど、歳にふさわしい(?)話題も出たところでした。

 一方、こうした話題は、現在、それぞれが意識あるいは大事にしているからこそ盛り上がるわけで、「大学の時は健康の話なんて無かったな」なんて思いながら、友人と別れた次第です。改めて、人は年齢や経験を重ねないと気付かないこと、あるいは心配になる変化がないと意識できないことがあるんだなと、認識したところです。

 さて話は変わって、先月、美郷町で不幸にも竜巻が発生しました。被害を受けました方々には心よりお見舞いを申し上げます。竜巻は予報が難しく、注意情報で意識喚起するしか手がありません。そのため美郷町では、防災行政無線を通じて気象庁の「竜巻情報」を瞬時にお伝えし、意識喚起に努めてきたところです。これまでは幸いにも発生がなく、度重なる竜巻情報に「うるさいなあ」という認識の方も居たかも知れませんが、実際の竜巻被害を目の当たりにしますと、やはり情報は「大切」と気付いてくださるものと思います。

 今回は、不幸中の幸いで人的被害がありませんでしたが、今後も人的被害は回避するために、竜巻情報が流れましたら、窓ガラスが飛散しても怪我をしない大丈夫なところに移動することなどを実践していただきたいと思います。それが、今回の経験から気付いたことであり、意識するべき事柄なんだろうと思います。

 節目の思慮は記憶にとどまりやすいと言います。美郷町の誕生日に際し、改めて「経験から気付く」防災意識、持ちたいものです。 

(広報「美郷」平成27年11月号より)

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