コラム「風」平成27年8月

絵じゃない餅をめざして 

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 7月は、国外においてはギリシャ債務問題が騒がれ、国内においては安保関連法案や新国立競技場問題などで揺れ動き、喧(かまびす)しさに比例して不安感が付きまとう月でした。加えて記録的な少雨。露地の畑作物などに影響がある由(よし)で、農家の方々にとっても不安で大変な月だったのではないかと思います。

 一方、私ども行政はどうかと申しますと、これまた大変な月でした。今年の一大取り組み、地方創生関連事務にエンジン全開が必要な月だったからです。その具体としてアンケート調査を実施しましたが、小学生以下のお子さんの保護者の方々、成人を迎える方々、高校三年生の方々には、お忙しい中ご協力をいただき、誠にありがとうございました。集計結果を受け止めながら、今後、施策の企画立案に汗を流していきたいと思います。

 さて、その地方創生ですが、要(よう)は地方の人口減少に歯止めをかけようというものです。そのために都市圏からの移住を進める、あるいは出生者数を増加させながら都市圏への転出に歯止めをかけていくものですが、その実現には移住者の働ける場が必要で、住環境も「選択される」魅力が求められます。また、出生者数を増加させるとともに転出に歯止めをかけるためには、結婚問題に対処しながら産み育てやすい環境の充実が必要で、加えて子供たちに魅力ある安定的な働く場の確保も求められます。そして当然のことですが、そうした施策展開を一定期間支えられる予算の確保も求められます。

 しかし、その予算確保の見通しが現在不透明と言われております。みなさんもご存知のとおり、国の財政が大変な状況だからです。そのため、地方の要望のようにはいかないのではないかという危惧もあり、その結果、いくら検討しても企画通りに実施できない懸念もあるところです。

 絵に描いた餅にはしたくありませんので、頭の痛いところです。春日三球・照代の「地下鉄漫才」よろしく、それを考えると夜も眠れなくなっちゃいますが、美郷版総合戦略策定委員会のお知恵を借りながら、しっかり仕上げていきたいと思います。タイムリミットは10月末。悩みは続きます・・・      

(広報「美郷」平成27年8月号より)

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