コラム「風」平成26年11月

一瞬と感動が生み出すもの

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「一音に魂を込めろ」。10月13日、リリオスにおいて開催されたアクアJAZZフェスティバルに特別出演した日野皓正さんの言葉です。その核心にある日野さんの音楽に対する姿勢に、私は甚(いた)く感じ入りました。

 そのコンサート、会場で時間を共有した方は共通認識だろうと思いますが、まさに一音に込めた魂を感ずるコンサートでした。一言で「感動」のコンサートです。ホールが一体感に包みこまれました。平成19年度の秋田国体と同様、記憶に残る国民文化祭となったものと思います。改めて関係したすべての方々に、心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 さて、茶道に「一期一会」という言葉があります。ある解説に「一生に一度だけの機会。生涯に一回しかないと考えてそのことに専念する意」とあります。つまりはこの一瞬を大切にして誠意を尽くすという意味と存じますが、「一音に魂を込めろ」という言葉の意味はきっとそれと同意です。何故なら音楽は時間と同様、一瞬の連続で形成されていくからです。結果、一瞬を大切にする意識は音楽とその時間にある種の意義を付与していくこととなり、だからこそ私は日野さんの言葉に深みを覚えた次第です。

 また、私の好きな書家であり詩人の相田みつをさんは、こういう言葉を残しています。「感動とは感じて動くこと」。きっとアクアJAZZフェスティバルでの感動も、それぞれの想いに応じたそれぞれの新たな行動のエネルギーに繋がっていくものと思います。「感動のコンサート万歳!」です。

 そして美郷町。ご承知のとおり一つの節目を迎えました。しかしこの節目、時間概念では一瞬のことです。そのことを踏まえ、日野さんや相田さんの言葉に重ねるならば、この瞬間に魂を込めて美郷を考え、この瞬間をみなさんで迎えた感動を大切に新たな美郷づくりに動き、さらにその意識を継続することで、美郷の歩む時間にある種の意義を生み出していきましょうということになります。一体感ある美郷町のために今後もがんばっていきましょう。

(広報「美郷」平成26年11月号より) 

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