コラム「風」平成26年2月

文化と心と未来と

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 世の中には宝くじのように当たって欲しいことと、そうでないことがありますが、今冬は代表的な後者の例となってしまいました。長期予報は出ていましたが、まさか現実になるとは・・・。町では除排雪でがんばっておりますが、皆さんにも地域のためにできるご協力を心からお願いいたします。

 さて、こうした雪への対応は雪国の文化であると私は思っておりますが、先般、別の事柄で「これも文化だ」と改めて思う場面に立ち会いました。皆さんご存知の菖蒲太鼓保存会。毎年新春に「初響会」が開催されますが、特に今年の初響会では力強い演奏の中に、私は強く「心」を感じました。

 「文化」という言葉は、広辞苑には「人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果」とあります。雪への対応及びその核心にある心は、まさに「その地の文化」となる訳ですが、太鼓も同様ではないかと思います。太鼓は、心臓の鼓動など自然界のリズムを源流に喜怒哀楽を表現する根源的な楽器として誕生し、継承される中で演奏技術や演奏スタイルが磨かれ、その結果として心が磨かれていったものと感じます。これはまさに文化です。

 一方、芸術文化という言葉で括られることの多い「芸術」についてはどうかを考えると、やはり文化同様、蓄積の過程の中で磨かれた技術と表現スタイル、そして表現者の心が必ずそこに内在しています。その証左に、例えば絵画展に行き感動を覚えるのは、絵の表現方法とともに絵に込めた画家の心ですし、演劇においても感動するのは言葉や所作、そして俳優の心です。

 こうした芸術文化、今年は祭典が開催されます。国民文化祭です。そして奇しくも今年は美郷町合併10周年。「節目」というものに未来への意欲確認の意義を求めるとするならば、数多の芸術文化に内在する心の確認は、必ずや町づくりの未来に向けた心の確認に繋がると私は確信しております。

 その手始めが今月です。伝統文化である六郷のカマクラ行事が開催されます。みなさんこぞって参加し、その真髄に凛として存在する心に触れてみましょう。そこには、必ずや美郷の未来に繋がる心があるはずです。

(広報「美郷」平成26年2月号より)

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