コラム「風」平成25年10月

おもてなしの実践

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 みなさんはかつての朝の連続テレビ小説、「どんど晴れ」をご記憶でしょうか。岩手の老舗旅館を舞台に若女将が奮闘するドラマで、私には主演女優の比嘉愛未さんの爽やかな印象(私はそれ以来ファンの一人です)が残っているとともに、旅館玄関の扁額(へんがく)「来者如帰(来る者帰るが如し)」を象徴にした「おもてなしの心」が深く印象に刻まれているドラマです。

 その「おもてなし」、先月のオリンピック招致プレゼンテーションで滝川クリステルさんが取り上げました。取り上げた背景には、「お・も・て・な・し」が海外にアピールできる日本の誇るべき文化であり、海外の方も認知しているという分析があったからだろうと思います。そして私は、そのスピーチを聞いて反射的に「どんど晴れ」を思い起こしました。つまり、私にとってのおもてなしの端緒(たんしょ)は、このドラマにあるということです。それだけいいドラマだったわけですよ、私にとっては・・・。

 しかし、改めて「おもてなしとは何か」ということを深く考えてみると、これまた難しいことも再認識いたします。心配りの不足は相手を満足させず、配慮をし過ぎるとかえって相手に負担を感じさせる、ちょうど夏目漱石の「草枕」の冒頭文と同じような心境です。だからこそ具体の「おもてなしの意識」と「おもてなしの所作」は、結果的に奥深いものになると思うところです。裏返すと、おもてなしの実践には基本的に人間観察と自分磨きが付いて回るということだろうと思います。

 さて、そういうおもてなし、今月はみなさんで意識したいと思います。JR東日本の秋田デスティネーションキャンペーンが始まるからです。美郷町関係では、10月12日〜14日にかけて町内の鉄路を蒸気機関車が走ります。また、10月26日〜27日の美郷フェスタは関連行事です。県外のお客様もいらっしゃると思います。得難いこの機会、是非ともみなさんで美郷を売り込みたいと思います。そのためにもどうか足を運んでください。そしてイベントを盛り上げるというおもてなし、まずはみなさんで実践しましょう。

(広報「美郷」平成25年10月号より)

このページに関する情報