コラム「風」平成25年6月

ラベンダー園に行こう

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 肌寒い春に桜の調子は崩れ、農作業も遅れ気味でしたが、自然は普段どおりの新緑を育(はぐく)んでいます。生長を内包する新緑は、やはり心を潤します。

 さて、こうした新緑の中、舌鼓を打つお待ちかねの山菜が随分と市場に出回っています。私も既にタラの芽を天ぷらで食し、ホンナやアイコ、シドケをお浸しで食べ、山ウドは味噌をつけて食べました。皆さんはいかがでしょうか。先日、JALの関係で来町したフードジャーナリストの方もおっしゃっていましたが、この地の食の豊かさ、改めて実感いたします。

 山菜の美味しさは食感と香りにあると私は思いますが、食感の代表格はアイコやミズ、ワラビ。香りの代表格はホンナやシドケ、山ウドに行者ニンニクというところではないかと思います。私は比較的香りの強い、言い変えれば癖のある山菜が好きです(自分は癖のない人間を目指していますが・・・)。やはり山菜固有の香り、いいものです。

 ところでこうした香り、山菜のみならず花には花固有の、樹木には樹木固有の香りがあり、古(いにしえ)より利用されてきたことは皆さんご存知のとおりです。例えば正倉院には蘭奢待(らんじゃたい)と言う沈香の木片があります。香木として利用されていました。また近年では、針葉樹や花の油分を抽出し、精油としてアロマテラピーなどに利用されています。香りは新緑同様、心に潤いを与えます。

 こうした考え方のもと、町では現在、町の品種「美郷雪華」を中心にラベンダーの香りの活用に取り組んでいます。専門家のご協力を頂き、精油のほか抽出水も利用検討に入っていますが、今ある資源を特産品づくりと町の印象づくりに繋げたい考えです。ではその香り、一体どんな香りなのか。残念ながら活字では伝えられません。どうか今月下旬から見頃を迎える美郷町ラベンダー園に足を運んでもらい、ご自身でご確認いただきたいと思います。

 毎日汗をかきかき仕事に取り組んでいる私ですが、こちらは人に不快感を与えぬよう、忍者よろしく出来る限り匂いを消してまいります・・・。

(広報「美郷」平成25年6月号より)

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