コラム「風」平成25年3月

特色をもう一つ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 多くの方とお会いして話をする私は、たくさんの名刺も頂戴いたします。年度の終わりになると名刺の整頓をするよう心がけていますが、名刺を眺めて、顔はもちろん会話内容も思い出す方もいらっしゃれば、残念ながらそうでない方がいらっしゃるのも事実。実は私自身も、お会いした方なのに「初めまして」と言われたことは何回も経験していますし、その逆パターンもありまして、失礼申し上げたことも多々あります・・・。

 覚えている、覚えていないその違いは何かを改めて考えてみると、それはお会いした際に印象深さがあったかどうかだったように思います。言い換えると出会いに何か特色を感じたか否かということですが、改めて特色の大切さを実感するところです。そしてこのことはきっと地域も同じで、訪れた地域の記憶が残るかどうかは、地域の特色の濃淡だろうと思うところです。

 では「美郷町の特色」はどうかと言えば、申すまでもなくたくさんあって、決して「薄くない存在」と思いますが、この度、さらにもう一つの特色が追加されました。かねてより品種登録申請しておりました白色ラベンダー「美郷雪華」が先月品種登録され、美郷町の品種として確定しました。農業試験場を持たない市町村で品種を持つことは稀と伺っております。従って、これは立派な美郷町の特色の一つです。今後、美郷特有の品種として町ラベンダー園でPRしてまいります。また、美郷雪華を活用した特産品開発の可能性もあります。さらに、国内のラベンダー園にも美郷町の品種としてPRしてまいりますが、その結果、いつの日か県外のラベンダー園でも「美郷雪華」の名前を目にする日が来るかもしれません。期待が膨らむところです。

 私は大学で植物育種を専攻し、品種育成の大変さや品種を持つ意義は分かっているつもりです。ですので、今回の品種登録は本当に嬉しく思います。改めて、突然変異の株を守ってきてくれた栽培管理の皆さんと、品種登録に指導いただいた県農業試験場の佐藤孝夫さんに心から感謝いたします。

(広報「美郷」平成25年3月号より)

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