コラム「風」平成24年8月

もう一つの『心ひとつに』

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 できるだけ批判はしない信条で過ごしてきましたが、最近の国政を見るにつけ、それが揺らぎます。一体、今の国政はなんでしょうか。大震災からの復興、原発事故の安全な収束、危機的状況の経済や国際信用度の回復を優先させなければならない時に。マニフェストにあるなしでなく、自己保身のためでもなく、政権維持や奪取のためでもなく、もっと国と国民の未来のために高い識見を活かした思慮と行動を取ってもらいたいものです。多様な意見を認め、批判で終わらず対案も示し、議論の上で妥協もし、「心ひとつ」に決めるべきを決め、国をしっかりとした未来に導いてもらいたいものです。

 一方、そんな状況の国政を尻目に、この度は美郷中学生が見せてくれました。先の地区大会での活躍には目を見張りました。とりわけ野球部は再試合を制しての優勝。すばらしかったです。すべての部活動が統合後2ヶ月での大会。優勝したしないに関わらず、大会に臨んだことで得た成果を残したことは、ひとえに「心ひとつに」の意識のおかげだろうと思います。心を合わせれば一定の成果は残せる、そしてそれは必ず次に繋がる。私はそう思います。

 さて、町でもそんな想いを持って取り組んできたことが、先日、成就しました。首都圏の在京会、ふるさと会の統合です。町では中学校の統合を見据え、いずれ誕生する美郷中学校卒業生の首都圏の受け皿として各会の統合を提案してきました。そして各会選出の検討委員から練っていただいた統合案が、この度、すべての会で承認されました。改めて関係各位に心から感謝を申し上げます。結果、首都圏においてもう一つの「心ひとつに」が誕生します。来年度の第1回総会は大変と存じますが、子供たちの未来のため、首都圏のみならず在町の皆様にもご理解とご協力をお願いいたします。

 世の中、大体は「話せば分かる」ことです。しかし、話し合う目的を真に共有しなければ、何を話しても不毛の対立のみが残ります。国政はさておき、町政においては改めて肝に銘じたいと思います。さて、気持ちを引き締めたところで、私もこれから話し合います。きっと分かってくれるはずです。原稿を書き終えたので「今日は飲み放題コース」ということを・・・。

(広報「美郷」平成24年8月号より)

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