コラム「風」平成24年2月

新たな風

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 たまたまの合致とは思いますが、混乱を含めてここしばらく世の中が新しい動きに囲まれています。例えば今後の日本に大きな影響を与えるTPP問題や「超」のつく円高、そして原発事故に端を発したエネルギー問題に消費税増税問題などなど。新たな風とも表現できるこうした動き、自治分野では地域政党「大阪維新の会」の動きがそれです。

 政治手法には賛成しませんが、主張している大阪都構想に私は賛成です。その理由は日本にはWエンジンが必要だと思うからです。もし東京が災害でダウンすれば日本は立ち往生です。そうした際に首都機能を代替できる機能集積地が必要で、そのために府と政令市の権限をまとめ、重複など無駄を排除しながら対処系統を整理していくことは必要ではないかと思います。風の善し悪しは別にして、風が吹くに吹くだけの理由があります。

 さて、こうした新しい風は身近なところでも吹いています。私たちの伝統行事「竹打ち」がそのひとつです。皆さんもご存知のとおり、ここしばらく竹打ちでは乱闘騒ぎが続いておりました。「竹打ちはそういうもんだ」と言う方もいますが、見ていて決して気持ちのいいものではありません。そこでこの問題を何とかしようと、一昨年、町内の有志が「カマクラ井戸端トーク」を立ち上げ、提言をまとめました。まさに竹打ちにとっての新たな風です。主催団体の「六郷カマクラ保存会」では、その提言を受けて改善策を実施し、乱闘騒ぎは見事収まり、新たな風は確かな成果を残しました。しかし、さらにもうひとつ、成果を期待したいことがあります。打ち手の増加です。これまで「危ないから参加しない」と思っていた方も多いだろうと思いますが、乱闘は収まりました。どうか皆さん、美郷の大切な伝統行事を次世代に繋いでいく意味でも、今年は竹打ちに打ち手として参加してください。きっと、竹打ちの魅力を町外に発信する新たな風にもなるだろうと思います。

 「じゃあ町長も参加してね」という声がありそうですが、これが実に難しい。自宅で判断すれば南軍、役場で判断すれば北軍。と言うことですみませんが私は・・・とします。

(広報「美郷」平成24年2月号より)

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