コラム「風」平成23年5月

今だからこそ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 津波で被災した地にも、原発事故で被災した地にも、平等に春は届いています。暖かさがいくらかでも被災者の心を癒すことを願いたいと思います。

 さて、震災からひと月半経過しましたが、なかなか余震が収まりません。数多(あまた)ある報道の中には、余震はここ数年注意が必要との情報もあり、やはり心配なところです。その心配の中心にあるのは、言うまでもなく明治29年に発生した陸羽地震(六郷地震とも言われています)の再来です。ドラえもんのような「ひみつ道具」があれば、千屋断層の状況を見てきたいものですが、私たちに出来ることはやはり備えることしかありません。

 この度、町がみなさんにお配りした「地震防災マップ」は、防災行政無線の整備や自主防災組織の設立など一連の「安全安心のまちづくり」の一環として作成しましたが、偶然、東日本大震災と同時期となりました。みなさんには、今後の余震のことなども視野に入れ、マップに掲載しているポイントとなる点について、備える意味でどうか実践してもらいたいと思います。

 まず実践してほしいのが、「わが家の防災対策」についてです。点検と対策をお願いします。次は「非常時持出品」の準備です。そして「地域の危険度マップ」で、自宅や車庫などがデータ上どういう危険度の地域にあるのかを確認し、「耐震診断問診表」に基づき簡易診断をしてください。結果を踏まえて対応を検討する方は、町が準備している耐震診断や耐震補強工事の補助金を活用してください。もちろん「地震発生!その時どうする?」などは必ず目を通し、的確な行動を再確認していただきたいと思います。

 そして今回は、壁などのフックに掛けておいてすぐに見られるよう、ひも付きの袋に入れて配布しました。書類として積み重ね、どこに置いたか分からなくならないよう、できればフックに掛けていただきたいと思います。

 直下型地震が必ず発生する訳ではありませんので、過剰な不安は禁物ですが、災害の怖さを実感した今だからこそ、備えは万全を期したいものです。

(広報「美郷」平成23年5月号より)

このページに関する情報