コラム「風」平成23年4月

その時

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 日差しや鳥のさえずりに穏やかな春を感じる頃となりました。しかし、心中はなかなか心静かとは言えない春ではないでしょうか。異常気象や自然災害などを通じた自然に対する畏怖(いふ)から、将来に漠とした不安を感じてしまう春です。

 特に先月の大地震は、私たちに大きな爪跡を残しました。亡くなられた方や家屋喪失など甚大な被害に遭われた方には、お悔やみとお見舞いを申し上げます。町内でも、他県に比べると軽微とは言うものの、停電による断水や生活への支障など広く影響がありました。幸い、大きな混乱はなかったと認識しておりますが、これは皆さんの冷静な判断と適切な行動のお陰です。もちろん、町職員も懸命にがんばりましたが、改めて皆さんに感謝を申し上げます。また、被災された方々への支援については、どうか引き続きのご理解とご協力をお願いいたします。

 一方、一定の備えはしていたものの課題も見つかりました。一部の未整備地域を除き、防災行政無線を通じて避難所設置や給水情報などをお伝えしましたが、「音量が小さく聞こえない」というご指摘を頂きました。改めて、防災行政無線の留意点の周知不足を実感しました。以前にもお願いしておりますが、防災行政無線の放送を認識した段階では、テレビなどの室内音を遮断し、窓を開けて音声を聞いていただくようお願いいたします。また、長時間停電を想定した避難所間の連絡手段の確保や発電機の手配なども、再検討の必要性を強く実感しました。

 何事も経験から得ることがありますので、今回の経験を活かし、今後も絶対にないとは言えない災害に備えていきたいと思います。皆さんにも、「その時」への準備を再検証してもらいたいと思います。「備えあれば憂いなし」です。また、こうした災害には絶対的に助け合い精神が必要です。地域の助け合いを皆さんで再確認するとともに、現在もまだ続いている大地震の影響、生活全般の窮屈さについても助け合い精神で共に耐え、被災地の復興につなげていきましょう。

(広報「美郷」平成23年4月号より)

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