コラム「風」平成22年6月

つながる安心

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 もはや特別の機器でなくなった携帯電話。初期のそれは非常に大きく、通話料金も高額だったらしいですが、年々機器は小さくなり、通話料金も随分と安くなりました。また機能についても、通話はどこでも繋がるようになったし、写真も撮れて、テレビも観れて、音楽も聴けて、そしてサイフ機能まで付いて、本当に便利になっています。さらに居場所までわかる機能もあるようです(この機能、中には困っている人もいるようですが・・)。

 こうも便利になると、やはりどうしても携帯電話に頼ってしまい、日常の必携品として肌身離さず持ち歩くようになるわけですが、そのかわり不携帯になるとさあ大変。連絡のつかない不安感に苛(さいな)まれます。改めて今の時代、「つながっていることの安心感」があるんだなとしみじみ思いますが、さらにその深層心理を覗(のぞ)いてみると、そこにはつながっていることで「誰かが自分を見てくれている」という安心感も存在しています。

 さて、そういった「つながっていることの安心感」、きっとご高齢の方、とりわけひとり暮らしの方はより強くお持ちだろうと思います。年を重ねれば誰しも病気や怪我のリスクは高くなりますし、体も「はんで」がきかなくなり、迅速な対応が必要な災害時などの不安が増します。その際、やはり誰かとつながっていることを求めたいと思いますし、実際そうした仕組みがあれば、日常の生活も明るくなるものと思うところです。

 そのため町では、今年から緊急時に何らかの支援が必要な方々、例えば高齢者世帯や障がい者世帯、母子・父子世帯などを対象に、緊急時の連絡先、普段通院している病院名、服用している薬名などを記入する緊急情報キット「みさと安心パック」を、民生児童委員の協力のもと、対象者に配備することにしました。このパックを通じて、「日常の自分」が必ず誰かにつながります。「つながる安心感」に寄与することを期待しております。

 これまで町が推進してきた各種団体との災害時応援協定。これも町民全員にとっての「つながる安心感」のひとつ。いろんな形の安心感、今後も積み重ねてまいります。

(広報「美郷」平成22年6月号より)

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