コラム「風」平成22年3月

名前

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 弥生三月は卒業の月。保護者の皆さんは、いろんな気持ちで卒業・卒園を喜び、親冥利を味わうことと思いますが、私も先般、違う形で親冥利を噛みしめました。

 実は先月、長女が二十歳を迎えました。「成長したな」と喜ぶとともに、これまでのいろんなことを思い出しては密かに娘に感謝しました。併せて、妊娠が分かった時からスタートした親業、その第一歩の名付けについては「随分と悩んだな」と思い起こしました。

 「こんな子どもに育ってほしい」という親の願いや苗字とのバランス感、果ては「結婚して苗字が変わっても安定感ある名前に」などなど、今から思うと「よくもまあ、果てしなく考えたもんだ」と思います。しかし、それだけ名前にはいろんな想いが詰まっているし、実際いろんなことを考えるのが名前なのだ、ということだろうと思います。

 このことは、実は公共施設の名称も同じです。例えば町の給食センター。現在は二つですが、以前は各地区に一つずつあり、旧町村名を冠しておりました。しかし、老朽施設を業務停止しなければならず、その際、残っている施設の名称をどうするか随分と悩み、議論しました。結果、旧町村の名前を冠していては地域融和に望ましくないという判断に至り、それぞれ北給食センター、南給食センターと名称変更した経緯があります。

 この度は、公共施設再編に関連して施設名称を変更します。これについても随分と悩みましたが、町内唯一の施設は旧町村名を美郷に変更すること、同一機能の施設が複数ある場合は、学校等を除き旧町村名から北、中央、南を冠した名称にするなどの方針としました。そのココロは、そろそろ旧町村への郷愁をきちんと卒業し、地域融和による一体感と美郷意識の定着向上をなお一層進めていこうというものです。皆さんには、今後の施設名称の変更にそうした想いが詰まっていることに、どうかご理解をお願いいたします。

 さて、娘が二十歳ということは親父(おやじ)稼業も二十年。精神的にはそれ程成長していない親父ですが、鏡には確かに二十年経過の痕跡があります、残念ながら。特に皺(しわ)と髪の毛に・・・。

(広報「美郷」平成22年3月号より)

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