コラム「風」平成22年2月

慣性の法則

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先日、車で帰宅途中に直前横断する危険猫に遭遇しました。慌てて急ブレーキを踏んで事なきを得ましたが、お陰で助手席から買物が落ちてしまいました。「まったく〜」と独り言(ご)ちましたが、併せて「やはり慣性の法則だな」と思った次第です。車は急に止まれても物体は車のように止まれません。そのことを考えると、「ブレーキは静かに踏まないと」となるわけですが、そうするためには、先を予測する認識を持つことと目に入る情報を迅速かつ正確に把握することが必要となります。もちろん、アクセル操作も同じです。

 さて、先月町では、公共施設再編計画に基づき役場庁舎を統合しました。その際、留意してきたのは「慣性の法則」への留意です。極力不安感なく、慣れ親しんだ施設の利用を適切に停止させ、新たな利用体制を円滑に出発させること。その一点でした。そのため六郷と仙南の2地区に出張所を設置するとともに、できるだけ町広報やチラシで正しい情報伝達に努め、急ブレーキと急アクセルにならないように配慮してきたつもりです。

 概ね順調と把握していますが、出張所の存在や使い勝手をご存知ない方もいらっしゃるようで、「不便になった」との声も頂戴しているところです。新たな慣性(体制)に安心するまでにはもう少し時間が必要かも知れませんが、地区間を結ぶシャトル便の増便はもとより、出張所の存在(学友館と旧仙南公民館)や使い勝手の良さ(土日も含めて午後7時まで業務)をきちんと認識していただくよう、今後も正確な情報の発信に努めてまいります。また、空いた庁舎には概ね4月頃に各種団体が入居します。いずれ賑わいが戻りますので、今暫(しば)し、庁舎に灯(あか)りが燈(とも)らない寂しさもがまんしていただきたいと思います。

 いくら「変化の時代」とは言え、やはり変化には不安感が付きまとうもの。その心理を理解しながら、今後も町の取り組みでは、みなさんにできるだけ不安を感じさせないブレーキとアクセルに留意してまいります。そのためにも情報の共有は必要です。どうか町広報を読んでください、できれば本欄も。その本欄「風」は本号をもって6年目に突入です。

(広報「美郷」平成22年2月号より)

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