コラム「風」平成19年8月

君のハートよ位置につけ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 普段あまり連続もののテレビ番組は見ませんが、最近はまっているドラマがあります。旅館を舞台とした某局の朝の連続テレビ小説。主人公のひたむきさと謙虚さ、そして清々(すがすが)しさには本当に心が洗われますが、合わせて「おもてなしとは何か」を随所で考えさせられます。

 こうした中、先般、これまた「おもてなしの心」の一端であろう所作(しょさ)に触れ、感動を覚えることがありました。出張の際の飛行機での話です。

 伊丹空港行きの飛行機は小型で、空港到着後はゲートに直接接続できず、一旦バスに乗って空港ビルに向かう仕組みです。乗客全員が移ったところでバスは出発しましたが、その際、客室乗務員が深々とバスにお辞儀をしておりました。たまたま私が見える位置にいて、ふと見上げたら視界に入った光景ですが、目にしたのは確実に私だけでした。もしかしたら誰も目にしなかったかも知れないお辞儀と思った時、客室乗務員の心の琴線に触れた思いがして、しばし心に潤いを感じました。

 「おもてなしの心」を定義付けることは大変に難しいことですが、こういうことなんだろうと思いました。見ているからする、見ていないからしないという損得勘定ではなく、相手の心を忖度(そんたく)しながら自分の気持ちを言葉や所作で伝えようとする心。結果、相手に心地よさが生まれれば、それが「おもてなし」ではないかと考えるところです。そのためには自分が疲れる背伸びはしない、自分という品位を大切にする、押し付けにならないさり気なさに留意することなどが必要かも知れません。

 さて、そうしたおもてなしの心で迎えたい秋田わか杉国体が、いよいよ来月に迫りました。「君のハートよ位置につけ」は、秋田わか杉国体の合言葉ですが、応援をして下さる皆さん、競技運営や民泊でご協力をいただく皆さん、そして選手の皆さんそれぞれが記憶に残る国体となるよう、さあ、私たちのおもてなしの心も位置につけましょう。んん、とっくに位置についている?こりゃまた失礼いたしました〜!

(広報「美郷」平成19年8月号より)

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