コラム「風」平成19年2月

価値観

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先日、県町村会主催で県との意見交換の会がありました。時間に制約があったため、会議終了後、その不足を補うためある県幹部を訪ね、雑談をしてまいりました。話は、変化の激しい財政環境についてです。

 皆さんもご存知のとおり、大多数の自治体は基本的な取り組みに必要な経費の不足を、地方交付税として国から交付を受けております。美郷町では、今年度約五十億円が交付されることになっています。

 この金額は、これまでは道路延長や公園面積、高齢者人口や農家数など、さまざまな要素の組み合わせで決定されてきました。しかし来年度からは、三位一体改革に沿う方向に改定され、自治体面積と人口での算定割合が高まるようです。これでは面積が小さく人口の少ない所、例えば美郷町のような市町村は不利になります。そのために補正もするとのことですが、減額は避けられない見通しです。また、「やる気のある」自治体には、別枠での追加配分も検討しているとのことです。

 県幹部の方との雑談は、この「自治体のやる気」を何で判断するのかでした。共通した意見は、派手なスタンド・プレー的な取り組みに偏って、やる気を判断しないでほしいと言うことでした。

 国などと違い、市町村は住民生活に直結しております。従って、基本的な取り組みの堅実な展開が求められます。変化にも合わせながら、ミスなくしっかりと基本部分を推進する姿勢が、当たり前ですが市町村のやる気の端緒です。そして次に独自施策です。少ない財源をいかに工夫して取り組みの幅を出すかが意欲だろうと思います。つまり、やる気の本質をしっかりとさせた価値観で判断してもらいたいということです。

 こうした中、町では来年度の予算案編成が大詰めを迎えております。堅実性に加えて工夫も注入しながら、痩せる思いで調整にがんばっておりますが、なかなか支出予算は痩せません。「やる気」配分も獲得するように気合いでがんばりますが、皆さんからも望む美郷を創るという価値観で、健康的に痩せることへのご理解をよろしくお願いいたします。

 経験者はお分かりのとおり、ダイエットってのは難しいもんです。

(広報「美郷」平成19年2月号より)

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