コラム「風」平成18年7月

心の壁、愛の橋

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先日開催した行政座談会で、次のようなご意見をいただきました。「合併から1年半が経過しているが、まだ地域の壁を感じる。地域の一体化を進める妙案はないものか」。合併した市町村が共通して抱える根源的で難しい問題ですが、私は基本的に二つの努力が必要と考えております。

 まずは、住民同士の交流機会の創出です。地域の壁は人の心の問題ですので、お互いが顔見知りになり、理解し合うことが何より必要です。そのために町ではこれまで、同一目的の団体には統合をお願いするとともに、住民が集えるイベントの開催などに努めてきたところです。

 二つ目は、住民一人ひとりが「美郷」に対して心の拠り所を見いだすことです。それが何かは人それぞれですが、地域の壁を越えた一体感づくりには拠り所が必要です。そのために町では、これまで「町の木、花、鳥、魚」を定めるとともに、町民憲章や町民歌などを策定し、美郷町を象徴的に捉えることができるように努めてきたところです。

 しかし、こうした取り組みはあくまで「種蒔き」行為です。それが芽を出して成長するかどうかは、一人ひとりの気持ちにかかっています。見えない心の壁を砕くとともに、郷土を愛する橋を縦横無尽に掛けられる成長となるよう、前向きな気持ちを大切にしたいものです。

 さらにこの度、また新たな種を蒔きます。誇れる美郷の美景発見の取り組みです。皆さんの心を捉え、人に誇れる美郷の景色等をフォトコンテストの形で見つけ出していきます。きっと心の拠り所となれる象徴的な景色等があります。詳細は今月号に紹介しておりますので、どうか皆さんで探しましょう。また、もう一つは「町の日」記念行事の開催です。町の誕生日をお祝いし、11月に開催したい予定です。こうした機会をとらえ、改めて美郷を認識し、交流を深めていきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。

 さて、表題を見て「あっ」と思った方々。私もお仲間です。いいアルバムを作っていますよね〜、ジョン・レノンは。

(広報「美郷」平成18年7月号より)

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