コラム「風」平成17年11月

誕生日を迎えて

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

  「這(は)えば立て 立てば歩めの親心」。先日、友人の幼子(おさなご)を見て、この言葉を思い起こしました。情景とともに親の心情がほのぼのと伝わってきますが、ほんとうに琴線に触れる言葉です。

 さて、私たちの美郷も満一歳になりました。動物は自分のために生まれて間もなく歩き出しますが、美郷町も住民のために誕生と同時に動いてきました。皆さんが見た美郷のこの一年、いかがだったでしょうか。

 ところで、材木には枝の付け根に節目ができます。根・幹から枝・葉に水分を届け、葉・枝から幹・根に養分を届ける中継点ですので、樹木には大切な所です。製材すると邪魔者扱いですが、この節目があって樹木はしっかりと生長できる訳ですから、軽んずることはできません。

 同じように人生にもそうした節目があります。そして樹木と同様、重要な役割を有します。その節目に何を考え、何に満足し、何に反省するのかが、次の成長に影響を与える機会になるからです。そこで最も身近な節目を考えます。まず浮かんでくるのが誕生日です。何と言っても生命を授かった日です。このことは美郷町も同様だろうと思います。

 ということで、美郷の満一歳の節目に一年を振り返ってみました。行政運営を何とか軌道に乗せたくて随分と考え、動いた一年でした。職員もがんばりました。全員で「動いた」という自負はあります。一方、まだまだ思慮が浅かった、目配せが不足だったという反省もあります。もう少し気が回っていれば……という思いがあるのも事実です。この反省、二年目の行政運営には必ず繋げていきたいと思っているところです。

 美郷の成長は今はじまったばかりです。旧町村とは違う、美郷らしい成長をしたい。だからこそ皆さんからも建設的なご意見をいただきたい。そのためには、まずは町の考え方や状況を知ってもらいたい……とくると最後はやはり……だから本欄「風」をどうか読んでもらいたいというPRになってしまいます。悪しからずよろしくお願いいたします。

(広報「美郷」平成17年11月号より)

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